プロフ欄の自己紹介テンプレート(メンヘル・発達障害クラスタ編)
SNS上のプロフィールが長い人ほど抑うつ傾向?!
《「プロフが長い人は鬱傾向」説にネットの声「合ってる」 - 夕刊アメーバニュース》で知ったのですが、漫画付きツイートが8千回以上RTされています。
「プロフィールが長い人」ほど、うつになりやすい! http://t.co/JwDSvNRb6s pic.twitter.com/BSjcwoScyo
— ゆうきゆう/ゆうメンタルクリニック (@sinrinet) 2015, 4月 6
アメーバニュースの記事は文末をこう結んでいます。
「鬱になってたときにプロフィール長くしました……回復してきて、先日ちょっと短く修正したとこです……」
など、同意する声が上がっているところだ。
プロフ欄で承認欲求が顕在化
自分について、色々と語る人ほど『分かってほしいという』という欲求も強く、ストレスも抱えているため、うつになりやすい・・・と考えることもできます
マンガで分かる心療内科・精神科in渋谷 第49回「プロフィールだけで、うつ傾向を見分ける方法」 | ゆうメンタルクリニック
つまり、日々の生活で満たされることがなかった、
- 「誰かに自分を理解してもらいたい」
- 「人に認められたい」
という願望が、Twitterなどのプロフィール欄を埋め尽くすキーワードや、私のように毎日ブログを更新するなどの行為として発現するというわけですね。
メンヘル・発達障害クラスタのプロフ欄
さて、こちらが私のTwitterアカウントのプロフィール欄です。
私がフォローしたり、フォローされたりしている方の多くは、自己紹介欄の長短にかぎらず、次の2つのポイントについて明記しており、 今日はこれを考究してみます。
- 「私にはこんな障害があります」
- 「私にはこんなふうに接してください」
障害や疾患の名称
メンヘル・発達障害クラスタのプロフィールは、年代や職業から始まることはなく、まず病名を先頭に持ってきます。このクラスタへの帰属意識が強い方は、自己紹介欄にとどまらず、アカウント名に疾患の状況を盛り込みます。
アカウント名の例
ほげほげ@双極性障害で休職中
診断名の略語
Twitterの自己紹介欄は最大160文字までしか入力できません。狭いスペースでより効率よく自分を表現するためにアルファベットによる略称を記述することがあります。
- AC : Adult Children
アダルトチルドレン / 機能不全家庭で育った方 - ADHD : Attention Deficit Hyperactivity Disorder
注意欠陥・多動性障害 - ADD : Attention Deficit Disorder
注意欠陥障害 / ADHDとは異なり多動性がないことを明示したい場合など - AN : Anorexia Nervosa
神経性無食欲症 / 拒食症 - ASD : Autistic Spectrum Disorder
自閉症スペクトラム - BN : Bulimia Nervosa
神経性過食症 / 過食症 - BP : Borderline Personality Disorder
境界性人格障害 - DID : Dissociative Identity Disorder
解離性同一性障害 - FM : Fibromyalgia
線維筋痛症 - GID : Gender Identity Disorder
性同一性障害 - LD : Learning Disabilities
学習障害 - NPD : Narcissistic Personality Disorder
自己愛性人格障害 - OCD : Obsessive–Compulsive Disorder
強迫性障害 - PD : Panic Disorder
パニック障害 - PDD : Pervasive Developmental Disorders
広汎性発達障害 - PSD : Psychosomatic Disease
心身症 - SAD : Social Anxiety Disorder
社会不安障害 - Sz : Schizophrenia
統合失調症
これらの略語は自己紹介の省スペース対策のみならず、当事者同士など"わかる人にだけわかってもらえばよい"記号として用いられている場合もあります。バイポーラ(Bipolar disorder : 双極性障害)なども同様です。
なお、双極性障害の方は以下のように細分化された症状にアイデンティティーを見出している方も多いように見受けれれます。
- 双極性障害 Ⅰ 型 : 躁と"うつ"を繰り返す
- 双極性障害 Ⅱ 型 : 軽躁と"うつ"を繰り返す
- ラピッドサイクラー : 躁転を急速に繰り返す
診断名の基準
精神科の臨床診断の基準とされているDSM-5や、障害年金申請時に記入されるICD-10*1にある正式名称にこだわる方もいます。
一方、ネットなどで聞きかじった情報や処方されている薬から類推した病名を自称していると思しき人も大勢います。
医師や療育機関などの専門家による診断の有無にこだわる方は、プロフィールにその旨を付記してます。
- ◯◯障害と確定診断済
- ◯◯症の疑い(未診断)
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処方されている薬や治療法
大体の向精神剤エビリファイ組はデパス・パキシル組を見下してると思うし、ワイパックスよりソラナックスの方が偉い感じするし、睡眠導入剤ごときがwといってはマイスリーを馬鹿にするし、ツイッターメンヘラ部はより強い薬を処方されてるほうが偉いという謎のヒエラルキーにとらわれている…
— 電子の海に揺蕩うメンヘラ神 (@Q_sai__) 2015, 3月 19
本稿では、"メンヘル・発達障害"と一括りにしていますが、上記のツイートが示すとおり、重症度によりヒエラルキーが形成されており、異なる疾病でも同じ薬や治療法を受けている場合に仲間意識を生み出します。
#お薬もぐもぐ
服薬状況はプロフィール欄だけでなく、#お薬もぐもぐ などのハッシュタグ付きで日々ツイートすることにより、自己帰属感を確認することができます。
ロヒプノール 1mg * 3
デパケンR 200mg * 2
#お薬もぐもぐ
ドグマチールのように投与量に幅がある薬の場合はその数値、リスパダールの場合は内用液・OD錠・筋注の区別などが自己表現のモチーフとなります。
主な副作用
薬物治療を続ける上で、副作用に関する悩みは大きなテーマとなります。反精神医療といった極端な思想を持たない人も訴える主な副作用を並べてみました。
- 離脱症状
- 抗うつ剤による躁転
- 手のふるえなどの薬剤性パーキンソン症状
- 体重増加
ベンゾジアゼピン系の処方薬を長期服用するリスクや、ワイパックス(一般名 : ロラゼパム)などの抗不安薬やベンザリン(一般名 : ニトラゼパム)などの睡眠薬の具体的な減薬スケジュールが公開されているアシュトンマニュアル(通称)は離脱症状に苦しむ人の間で聖典的な存在となっています。
参考 : 「ベンゾジアゼピン - それはどのように作用し、離脱するにはどうすればよいか」ヘザー・アシュトン教授 (DM, FRCP)日本語版PDF
さまざまな治療法
薬物治療の他に、心理療法などに取り組んでいる人はこれをプロフィール欄に記載している場合があります。
- 認知行動療法
- SST : Social Skills Training(社会生活技能訓練)
- 森田療法
うつ病などを対象にした入院を基本とする精神療法*2
心がスッと軽くなる認知行動療法ノート 自分でできる27のプチレッスン |
発症のきっかけと治療経緯
"リア充"と呼ばれる一般の方が、アカウントの"人となり"をわかってもらうために出身校や、「現在の彼氏との出会いのきっかけ」などをプロフィールにつづるように、私たちにも語りたい歴史があります。
発症のきっかけ
パワハラ、いじめ、毒親など主に他責型の方がその原因を明記します。
家族構成や生育歴
特に発達障害では、これらの要素や遺伝的性質がキーになると考えている人もおり、それにふれる場合があります。
療育に通うPDD-NOS*3の息子と定型のダンナと3人暮らし。私自身も大人になってからASD特性に気づきました。
闘病歴と診断名の変更
「何年治療を続けているのか?」という失われた時間の重みと共に、その経緯を語りたい人もいます。
長期にわたる治療の過程で、医師の診断内容に疑念が生じることがあります。転院やセカンドオピニオンを受けることにより、診断名が変わった人の多くが、前医に誤診されたと感じるようです。
「これまで誤診を受けた(診断が間違っていた)ことがあると思いますか?」の質問に、「誤診の経験はない」と回答した人は38%にとどまり、「誤診の経験がある」が15%、「誤診ではないかと感じた経験がある」が24%となった。実に患者の4割が、誤診、あるいは誤診の疑いがあると感じた経験を持っていたのだ。
実際に病名が変わった経験を持つ人は、回答者の54%。多くは、病院や担当医が変わったタイミングで病名が変更された。「医師によって病名がコロコロ変わる」という精神科の昔ながらの特徴は、「科学的根拠に基づく精神医療」を掲げるようになった現在も、やはり変わらないようだ。
精神科セカンドオピニオン 正しい診断と処方を求めて/誤診・誤処方を受けた患者とその家族... |
具体的には、以下のような病名変更をプロフィール欄で見かけることがあります。
うつ病と誤診されて、抗うつ剤を飲んでいたけれど、今の主治医に双極性障害 Ⅱ 型と診断されて人生やり直し中。
統合失調症として薬漬けにされたけど、広汎性発達障害であることが判明。私の青春を奪ったヤブ医者を訴えたい。
福祉サービスの利用状況
一般の方が、自分のスキルや趣味をさりげなく披露する目的で「アロマテラピー検定2級」や「ソムリエの講座に通っています」などと書くように、メンヘルクラスタ共通の関心事項として、以下の項目があります。
- 精神障害者手帳の等級
- 障害年金の等級
- 作業所や就労支援などへの通所状況
- 知能検査などの結果
狭いプロフィール欄にキーワードを盛り込む際は、スラッシュで区切るとうまくまとまります。
精神障害者手帳3級 / A型作業所でデータ入力 / WAIS-Ⅲの動作IQが94
敬遠されそうな性癖に関するノーティス
発達障害に限らず、精神疾患によるコミュニケーション能力やストレス耐性の低下を自覚している人も多いです。
傷つきやすい私たちが、フォロワーやSNS上の友達になる人とのミスマッチを防ぐために、こんな文言をプロフィール欄に掲載していることがあります。
- ネガテイブなつぶやき多めです
- 非公式RTで絡まれるのは苦手です
- 心の病に理解がない方はご遠慮ください
- フォロー・リムーブ・ブロックは無言でどうぞ
以上、淡々とプロフィール欄に頻出する内容を分類してみましたが、私も一言で完結するような短い自己紹介ができる日が来るまで、精進したいと思います。