kukkanen’s diary

障害年金で暮らす片づけられない女の日記

「大人のADHDかな?」と思ったら #世界自閉症啓発デー #啓発記事コラボ

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世界自閉症啓発デーとは

4月2日〜8日は発達障害啓発週間で、初日の世界自閉症啓発デー(4月2日)では、東京タワーをはじめとした世界中の有名な建築物が青くライトアップされます。

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4月2日は「世界自閉症啓発デー」東京タワー含め、世界中の建築物がブルーにライトアップされます! | 東京タワー TokyoTower オフィシャルホームページ

啓発記事コラボのご案内

id:nanaioさんが世界自閉症啓発デーをきっかけに、こんな呼びかけをしています。

<主旨>

自閉症スペクトラム及び発達障害の正しい知識を世間の皆様に向けて発信し一人でも多くの方に理解を広めたいです。

多くの発達障害の皆さんが差別や偏見を受けることなく暮らしやすい社会に一歩でも近づくための小さなアクションが出来ればと思っています。

大人の発達障害は自己理解が重要

この啓発記事コラボの主旨はすばらしいのですが、抑うつ状態などの二次障害をきっかけに成人後、発達障害と診断された人は"他者に理解を求める"前に、自分を正しく理解し、自分から社会に歩み寄っていくことが肝要と私は考えています。

そして、私はEnlightened(謎の物質"XM"をコントロールして、人類を覚醒に導こうとする派閥)ではなく、Resistanceのエージェントであることから、啓発記事を書くことに抵抗があり、・・・というのは冗談ですが、まだまだ人を啓蒙する立場にないので、ひっそりとこの記事を公開します。

enlighten(「啓発する」という意味の動詞)から、Ingressの世界に話が飛んでしまいましたが、興味がある方はこちらの記事をどうぞ。

そんなわけで、 啓発というほどの立派な内容がないこのブログですが、発達障害や精神疾患、特にADHDに関する記事をたくさん書いているので、それをこちらに整理してみます。

主旨としては、世間にADHDを理解してもらおうというより、記事タイトルにあげたように自分はもしかして「大人のADHDかな?」と思った人や、既にADHDと診断された人の参考になれば幸いです。

あまり知られていないADHDの特徴

ADHDはAttention Deficit  Hyperactivity Disorder(注意欠陥・多動性障害)の略語で、その特徴として挙げられる「不注意」と「多動」に関しては、わりとイメージが簡単だと思います。

不注意は「おっちょこちょい」、多動はいつもそわそわとして落ち着かないことから、子供時代に「ちょろ松」などというアダ名がつけれれたりする、どちらかというと愛される性格というふうに、肯定的に自分の障害特性を捉えている当事者も多いはずです。

でも、実は3つ目の特徴である「衝動性」については、あまり知られていないのではないでしょうか?

不注意をカバーする工夫は、この後の記事でいくつか紹介しますが、「衝動」という言葉の通り、抑えようのない問題行動が社会からの孤立を招き、結果として二次障害を引き起こすという現実について書いてみました。

ADHD脳を補完する外部記憶とITツール

うつ病や双極性障害として治療を受けていた私が、ADHDと診断されるきっかけの一つになった出来事は、心理検査を受けたことです。「木を描かせる」ことでお馴染みのバウムテストの他にWAISという知能検査で、自分の認知機能が低いことを知り、ショックを受けました。

認知機能とは記憶・理解・判断などを指し、生まれつき脳の働きに偏りがあるとされているADHDでは、これらの情報処理をうまく行えないそうです。

認知心理学にワーキングメモリという概念があり、ADHD当事者はこれが健常者より少ないと考えられています。

ワーキングメモリは、パソコンでいえばRAMなどのメモリに該当します。

例えば、私が使っているMacBook Airはメモリが4GB、ハードディスク(HDD)が120GBです。どちらもGB(ギガバイト)という単位でスペックを評価していますが、ハードディスクは文書や音楽などのファイルを保存しておく場所で、それを実際に再生など作業する場所がメモリです。

つまり、下のイメージ図のようにメモリが大きければ、大きいほど「一度にできる作業量」が増えます。

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Googleが導入した量子コンピューターとは?最新情報

このことから、ADHDにおけるワーキングメモリ不足を克服するポイントをあげてみます。

  • タスクは細分化して、一度に処理できる小ささにする
  • タスクに適切な名前をつけて、自分の脳以外の外部記憶に保管する
  • タスクを呼び出す(思い出す)仕組みも自分の脳以外のツールに任せる

「外部記憶」や「ツール」は、紙でできた付箋紙やメモ帳でも構いませんが、効率や確実性を追求するために、パソコンやスマホを活用するのが望ましいです。

そこで、私が実践している方法を2つの記事で紹介します。

ADHDの治療薬「ストラテラ」と「コンサータ」

前の項目で紹介したように自分の脳の限界を認め、さまざまなツールや手法を用いて、仕事をこなしたり、日常生活を楽にしたりすることで、ADHDの症状はある程度改善できます。

大人におけるADHDの割合は3.4%という研究報告もあり、医学的な治療を受けず、社会生活を送っている人も多いと思われます。

成人期ADHDの有病率研究では,ベルギー 4.1%,コロンビア 1.9%,フランス 7.3%,ドイツ 3.1%,イタリア 2.8%,レバノン 1.8%,メキシコ 1.9%,オランダ 5.0%,スペイン 1.2%,米国 5.2%でこれらを総合すると 3.4%という報告がある

「成人期のADHDの疫学調査」第108回日本精神神経学会学術総会(PDF)

ですが、自助努力では解決できないほどADHDの症状(不注意・多動・衝動性など)が目立つ場合は、薬物治療が行われます。現在、日本で処方されているADHD治療薬はストラテラとコンサータだけで、これをテーマにした記事を2本書いています。 

ADHDの治療を続けるための経済面でのサポート「自立支援医療」

前の項でADHD治療薬として紹介したストラテラとコンサータは、日本ではまだジェネリックが発売されていないので、薬価がとても高いです。

例えば、ストラテラを120mgのMAX容量で2週間処方された場合、「448.40円*3錠*14日間*3割負担=5,649.84円」と計算されます。

《用法・用量》通常、18歳以上の患者には、アトモキセチンとして1日40mgより開始し、その後1日80mgまで増量した後、1日80~120mgで維持する。

《薬価》ストラテラカプセル 40mg : 448.40円

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)治療剤「ストラテラⓇ」、日本で初めて、成人期のAD/HDへの適応承認| プレスリリース | 日本イーライリリー株式会社

ストラテラなどでADHDを治療する場合、保険適用でも1ヶ月の医療費があっという間に1万円を超えることになります。その負担を軽くする公的制度として、自立支援医療があります。

一般の方であれば公的医療保険で3割の医療費を負担しているところを1割に軽減します。
(例:かかった医療費が7,000円、医療保険による自己負担が2,100円の場合、本制度による自己負担を700円に軽減します。)

自立支援医療(精神通院医療)について|経済的な支援|治療や生活に役立つ情報|みんなのメンタルヘルス総合サイト

さらに、1ヶ月あたりの上限額が設定されており、市町村民税非課税世帯で受給者の収入が80万円以下の場合は2,500円、80万円より上の場合は5,000円です。つまり、精神疾患などにより、無収入となってしまっても、1ヶ月に支払う医療費(精神科のみの外来と薬の料金などの合計)は2,500円を超えることがないというシステムなのです。

精神科への通院が長引きそうになったら、主治医の診断書を添えて、自治体の窓口に申請すると、この制度を利用するための自立支援医療受給者証が発行されます。

ADHD当事者が利用できる社会資源「療育手帳」と「精神障害者手帳」 

手帳を発行する自治体により、対象者が異なることが問題視されていますが、ADHDやその他の発達障害と診断された人は療育手帳、ADHDを含む精神障害全般の人向けには精神障害者手帳という制度があります。

これらの手帳を持つメリットと違いについて、以下の記事にまとめましたが、代表的な優遇措置として公共交通機関や携帯電話の料金割引制度などがあります。

なお、療育手帳や精神障害者手帳を取得すると、障害者控除を受けることにより、税金の負担が軽くなります。

ADHDも申請できる障害年金

ADHDの症状または二次障害である抑うつ状態などから、就労や日常生活に支障が出ている人は、障害年金を申請できる場合もあります。

厚生労働省が公開している資料を元に、障害年金の審査を担当する認定医が何を基準に受給可否を決めているのかを読み解いた記事を紹介します。

ちなみに、障害年金に該当するような症状で社会生活に困難が生じていても、納付状況など一定の条件を満たしていないと、申請できません。世代間格差から「年金を支払うのは損」と考る未納者が多いという現実がありますが、老齢年金の試算方法と障害年金について、受給当事者として以下の記事を書いています。

ADHDと健康管理

コンサータなどによる薬物治療もありますが、《「うつ病の治療に良い」とされる #Ingress の効果と副作用を患者であるLv8エージェントが語ります》でも紹介したように、ADHDの症状の改善策として適度な運動や規則正しい生活リズムを保つことも重要とされています。

次の記事では、これらをモニタリングできる活動量計を紹介しています。

そして、記録した睡眠のリズムや服薬時間などをA4サイズにまとめることによって、短い診察時間を有意義なものにする方法を解説した記事がこちらです。

"依存や中毒"といった症状が出現しやすいと指摘されるADHDとカフェインの関係と、その代替手段として5種類の飲み物を紹介しています。

ADHDと一般就労「休職」と「労災」

現在、一般企業で働いている人の中に、メンタル面の不調から「とりあえず、休職したい」と考える人もいらっしゃるでしょう。

衝動性という負の特性から、後先のことをよく考えずアクションを起こしがちなADHDですが、会社に休職を申し出る前に「復職判定」という制度について、よく調べてみることをお勧めします。

下の記事では、"復職判定を行う産業医"と"通院先の主治医"の診立てがなぜ異なるのかを解説しています。

休職に関連して、自分の精神状態の悪化を「パワハラ」や「ブラック企業」によるものと考えて、労災を申請したいという声もよく耳にします。厚生労働省が公開するデータと照らし合わせながら、申請すら難しい労災の実態を解説しています。

ADHDと福祉的就労「作業所」

最終項として、 ADHDなどの精神障害から一般就労が難しくなった際のセイフティゾーンである「作業所」について書いた記事を並べておきます。

まず、作業所の種類とそこでどのくらい収入を得られるかはこちらをお読みください。

そして、私が実際にとある作業所を見学した際のレポートです。

以上が、#啓発記事コラボの主旨とはちょっと違いますが、私からADHD当事者へのメッセージでした。

なお、#啓発記事コラボの〆切である2015年4月2日(木)20時以降に、集まった記事を紹介するエントリーも書く予定です。